会長挨拶
喘息診療の現状を越えて — 次なる挑戦へ
会長 宮原 信明
岡山大学学術研究院保健学域検査技術科学分野
岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科

このたび、第7回日本喘息学会総会学術大会の会長を拝命し、2026年7月25日(土)から26日(日)にかけて、岡山コンベンションセンターにて本大会を開催させていただく運びとなりました。開催にあたり、一般社団法人日本喘息学会の理事、監事、代議員、並びに会員の皆様に、心より御礼申し上げます。
一般社団法人日本喘息学会(Japan Asthma Society: JAS)は、気管支喘息およびその類縁疾患に関する研究発表と知識の共有を通じて、疫学、病態、診断、治療の進展とその普及・啓発を目的として、2020年に設立されました。学術大会は毎年夏に開催されており、今回は地方都市である岡山の地にて開催させていただきます。
我が国における喘息の有病率は約8%と推定されており、患者数の多い「common disease」であり、呼吸器あるいはアレルギー専門医だけでなく、多くの非専門の一般診療医によっても診られています。このような状況を踏まえ、2021年には一般診療医にも理解しやすく実践的な指針となるよう『喘息診療実践ガイドライン(Practical Guidelines for Asthma Management:PGAM)』を作成し、改訂を重ねてまいりました。また、近年は生物学的製剤の普及により重症喘息のコントロールが進み、「Clinical Remission(臨床的寛解)」という新たな概念が生まれ、現在ではこの概念を重症喘息のみならず喘息全般のコントロールの目安とする方向性が示されており、PGAM2024でその内容が明記されています。
本大会のテーマは「喘息診療の現状を越えて ― 次なる挑戦へ」です。喘息による死亡数は減少し、「Clinical Remission」さらにはその先を見据える時代が到来しつつあります。また生物学的製剤の進歩により重症喘息のコントロールも飛躍的に改善されました。しかしそれでもなお、十分なコントロールが得られず難渋する喘息も一定数存在するのが現状です。
本学術大会では、こうした現状を踏まえ、最新の知見を共有し、次なる挑戦について活発に議論を深めていけるよう、多彩なプログラムをご用意いたします。多くのエキスパートをお招きし、魅力ある大会となるよう鋭意努めてまいります。多くの先生方にご参加いただき、実り多い学術大会となりますよう、心よりお願い申し上げます。末筆ながら、皆様のますますのご健勝とご発展をお祈り申し上げます。
